たった一匹のヒキガエル

2012.10.14.Sun
2012年10月14日     

蟇の穴のぞけば会える時間帯     コウコ
(ひき)

 「ちいさな王子」(サン・テグジュペリ作 野崎歓訳)の
 第21章にキツネが登場します。キツネは王子に
 <なつかせる>とは<きずなを作る>ことだと教えられます。
 
 かつて王子の星に、美しく魅力的なバラが咲きました。
 しかしそのバラはいろいろと難しく身勝手なので、
 王子は自分の星から抜け出し、さまざまの星を旅して、
 ついに地球にやって来たのでした。

 王子はキツネに「もう一度、バラを見に行ってごらんよ。
 そうすれば、君のバラがこの世でたった一輪のバラだってことが
 わかるから」とすすめられ、5千本のバラを見に行きました。
 バラたちを前にして、王子は自分の星に咲く一輪のバラに水をあげ、
 ガラスのケースをかぶせ、ついたてをたて、毛虫を退治し、
 ぐちも自慢話も聞いてあげたのは自分のバラだったからだと
 気付きます。
 キツネは「時間をかけて世話したからこそ、君のバラになったんだ」
 と言いました。
 
 8年前に出会ったヒキガエルも、いつしか「うちのヒキガエル」と
 呼ぶようになっていました。
 ある年、冬眠から覚めたヒキガエルの背骨が尖るほど痩せて
 いたので、ついミミズを与えてしまったのです。
 提供した巣穴もお気に入りで、近づいただけで出て来ますし、
 じっと端坐して餌を待つ健気さはとても可愛いものです。

  10月14日たった1匹のヒキ
 
 十代で出会った「星の王子さま」(内藤濯 訳)ですが、
 「ちいさな王子」(野崎歓 訳)の<なつかせる>の訳文が心地よく、
 新鮮な再会でした。
 
 
 
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