「飛騨の円空一千光寺とその周辺の足跡」

2013.03.11.Mon
2013年3月11日

くすぐつたいぞ円空仏に子猫の手     加藤楸邨
陽炎や円空は何故彫りつづけ         〃

炎天より僧ひとり乗り岐阜羽島       森 澄雄


円空(1632~95)といえば楸邨の二句が浮かびます。

澄雄の句は「炎天より」という幻想的な表現なので、
ひとりの僧は円空に思えてなりません。
円空は美濃国(岐阜県)羽島市に生まれました。

円空仏を初めて観たのは冬の三井寺(園城寺)でした。
円空は園城寺の天台密教の血脈(法統)を承け、そのお礼として
「善女龍王像」7体を寄進しました。
頭上に7体とも龍を載せて、琵琶湖を望む三井寺ならではの水神
という印象でした。   三井寺の山門で売る寒蜆   コウコ

このたびの東京国立博物館140周年の特別展である
「飛騨の円空一千光寺とその周辺の足跡」を心待ちにしていました。

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両面宿儺坐像
(りょうめんすくなざぞう 総高 86.9 千光寺)
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展示場の一室に千光寺(岐阜県高山市)所蔵の61体を
はじめ、同市14の寺社が所蔵する100体が展示されて
います。飛騨の森を再現するイメージでデザインしたそうです。
100体はもちろん飛騨高山の木が用いられています。

傑作として名高い「両面宿儺坐像」は正面奥にありました。
「日本書記」には民を苦しめたと書いてあり、飛騨では悪龍を
退治した伝説があるそうです。参詣者が同時に拝めるようにと
正面に顔を2つ並べ、荒々しい彫り跡が残る力強い像です。
飛騨の山の民の祖として、斧を持たせています。
円空は晩年の貞享2年(1850年)頃、千光寺に1年ほど滞在し、
両面宿儺座像をはじめ、多くの像と和歌を残しました。


円空像
(大森旭停筆文化2年 1805年 千光寺)
このたび円空との対面が叶いました。

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円空像は山々を背にしています。
白山は白山信仰のシンボルであり、大峯山は密教の金剛界であり、
その他の山岳も円空が投じた修験道の難行苦行を連想させます。
帽子の金剛界の五仏はすべての迷妄を打ち破る大日如来の叡智
の世界を表しています。

円空像は模写ですが、上の「一心」は円空の書と伝えられています。
一心は宗教用語かもしれませんが、一心不乱や一心岩を通すなど
心を一つに集中させた円空を象徴する書だと思いました。

円空は30代半ばから30年にわたり全国を修行で巡りながら、
その土地の木材を用いて仏像を彫り、民衆に与えました。
そして、なんと発願12万体を成就させたのでした。(現存5350体)

元禄8年(1695年)美濃国関の弥勒寺で63年の生涯を全うしました。


宇賀神象
(総高19.8 千光寺)
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豊穣、福徳の神。身体は白蛇で頭は老人。三角の頭と線刻の
お顔は可愛らしく、シンプルな造形はモダンです。
江戸時代前期の作品とは思えないセンスです。


不動明王および二童子立像
(総高95.8 62.3 58.8 千光寺)
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3体は1本の丸太を3つに割り不動明王は木の表皮を、2体は
木心を彫刻しています。ここには終始人が集まり、背面を確認して
いました。NHKの「日曜美術館」を見た人が多かったという印象でした。


弁財天立像
(総高100.8 飛騨国分寺)
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左の目尻に斑紋があり、お顔にシミ(肝班)があると思って、
近づいてますと木の節でした。
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このくらいのことは気にしないのかもしれません。
円空の神仏像は、太い節があれば位置をずらせば済むことで、
木が曲がっていればそれなりに彫り、自由自在です。

木そのものを仏と思い、木の中の仏を彫り出す仏師だったそうです。
木端でも枯木でも立木にも彫りました。

円空の手にかかれば如何なる素材も生かされます。
生かされないものは、もともと存在しないのかもしれません。
円空の心は、人のように微笑む円空仏を通して民衆に
伝わり、親しみやすく気軽に拝むことが出来たのでした。


柿本人磨坐像
(総高50.2 東山神明神社)
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円空は万葉歌人の人磨を敬い、歌詠みの神様にしたのでしょう。

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千光寺の山号「けさ」を和歌に詠み込んだ円空自筆の「袈裟山百首」
が展示されています。円空は他に1800首も詠んでいます。


賓頭蘆者坐像
(総高47.4 千光寺)
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撫で仏の頭をなでると病気が治るといい、古くからこの地方の人々
に親しまれたそうです。多くの村人が撫でたので頭が艶やかです。
若い人が撫で仏の意味を知り、興味深そうに話していました。


三十三観音立像
(総高61.0~82.0 千光寺)
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眉目は線刻で細く、口元は頬笑み、両手は胸の前で組み合わせ
ています。村人は病気に罹ると借りて祈りました。
そのまま戻って来ない場合もあったといいます。


歓喜天立像
(総高13.5 千光寺)
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頭が象、体は人間の2体が抱き合う形。
秘仏で7年に一度しか開帳されません。
公開により特別に厨子から出されました。


善女龍王像
(総高69.0 桂峯寺)
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円空の「善女龍王像」は三井寺で観ているので、
再会した気分でした。
止雨を祈って造り、円空は双六岳に登ることが出来たという
伝説があるそうです。

激しい鑿の跡がある一方、思わず微笑みに誘われてしまう
穏やかなお顔の円空仏。芸術家と宗教者の両面を感じます。
和歌を詠み、大般若教の見返しに184枚の絵も残しました。

これを機に円空を知りたいという思いに駆られました。



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上野公園はまだ冬木のままですが、
満開の緋寒桜と紅梅白梅を見付けました。


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コメント

2013-04-02.Tue 11:08
ー北さんー

三か所も廻られて、凄いですね。
UPを楽しみに、訪問させて頂きます。
URL|コウコ #-[ 編集]

2013-04-01.Mon 22:09
はじめまして。「まほろばの島詩」の北さんです。
私も3月26日、博物館に行ってきました
当日は欲張って、
西洋美術館・・ラファエロ展
都美術館・・・・エル・グレコ展
国立博物館・・円空展
等観て歩きました。
やはり円空展、期待通りの特別展でした。
作品にもその数にも圧倒されました。
後日UP予定です。
URL|北さん #-[ 編集]

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