フラメンコの魂

2012.12.21.Fri
2012年12月21日 冬至

一病といつしか馴染み冬至粥     コウコ


先日、ねむの木学園の生徒さん達(男子5名、女子1名)が、
マイケルジャクソンのCDに合わせて踊った
パフォーマンスは感動的でした。

忘れられないもう一つの記憶に、舞踊家小松原庸子氏の恩師
エンリケ・エル・コホ氏のフラメンコがあります。

仕事上回ってきたチケツトでしたが、この機会がなかったら、
フラメンコと出会うことはなかったと思います。
1980年前後に「小松原庸子スペイン舞踊団」の
公演を続けて3回観ました。

1回目は日比谷野外音楽堂でのフェスティバルで
「真夏の夜のフラメンコ」。
著名な闘牛士を迎えて、花火や照明を駆使した
大胆で華やかな舞台でした。
観客席と一体化した臨場感には圧倒されました。

2回目は流浪の民ジプシーの、差別と迫害の受難の歴史を
舞台化した画期的な作品でした。舞踊団の総力を結集した
芸術祭参加作品だったと思います。

3回目の公演は、生涯忘れられないエンリケ・エル・コホ氏の
フラメンコです。

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舞台装置も以前のように凝らず、居酒屋を設えただけでした。
出演者も限られ、全体的にシンプルでしたが、
特別出演のエンリケ氏の存在感が絶大でした。
小松原庸子氏は最後のご挨拶で、
師匠のフラメンコを観てこの道に入ったと言われましたが、
観客にとっても衝撃的でした。

エンリコ氏は黒のスラックスと黒のセーターで登場しました。
御年70代でしょうか、背は低く小太りで、物凄いオーラです。
フラメンコ独特の激しい振りはなく、動かずとも動きを感じ
させる踊りで、想像したフラメンコとは対極的でした。
手と指の繊細な動きだけで、全身が躍動しているかのようです。
内面から滲み出てくる魂の感情表現や、
強い意志表現には感嘆しました。
なにもかも削ぎ落とし、己の心ひとつで表現した究極の
フラメンコに思えたのでした。

前半の1幕が終わってから気付いたのですが、
お歳のせいか、足が不自由なご様子でした。

第2幕は意外にも、杖をつき平服の背広姿で登場されました。
何事かと思いましたら、なんとステッキでバイオリン弾きとなり、
鉄砲撃ちとなり、馬に跨って騎手となって、
次々と繰り広げられる即興には、そのつど拍手喝采が起きました。
共演の小松原氏をステッキで叩く仕草は
師匠の愛の鞭で、会場を笑わせました。

ギタリストは男女2人で、踊り手のステップから目を離さず、
メリハリのあるリズムとメロディーを爪弾いて見事でした。

氏のフラメンコの記憶は、年を経るたびに鮮やかに蘇ります。

エンリケ・エル・コホ氏のフラメンコと
ねむの木学園の生徒さん達のダンスには、
それでもなお「人生は楽しい」と言う
大いなるメッセージが込められていたのでした。



            


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