布に触れて

2012.11.29.Thu
2012年11月29日

一隅の襤褸を照らす冬日かな     コウコ
    (らんる)

浅草に出かけた折に<布文化>の美術館で知られている
「アミューズミュージアム」に立ち寄りました。
受付では「展示品を触れても撮っても構いません」と言われました。
なんと柔軟なミュージアムでしょう!

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  AMUSE MUSEUM  田中忠三郎
来館記念に頂いたポストカード

2階に黒澤明監督のオムニバス映画「夢」で使われた衣装等が
展示されていて、映画製作への情熱に胸を打たれました。
監督は農民の野良着を、民俗学者の田中忠三郎氏のコレクション
の中にある、本物の「ぼろ」で撮ることを望まれました。
「ぼろ」と呼ばれる農民の衣類は、江戸時代から昭和期の青森で
布を継ぎ当て、何代にもわたり使われてきたものです。
その「ぼろ」はすでに重要文化財に登録されていて使用出来ず、
氏はそれから奔走されて、監督に応えられたのでした。

提供された衣装と現場の写真が展示されていまいた。
野良着の継はぎの色彩が美しく、村人達のいきいきとした表情
が印象的でした。なかでも写真の笠智衆に会えて、
機会があったら是非、映画「夢」を観たいと思いました。

日本人の生活の知恵から生まれた布の文化ですが、「ぼろ」にも
「刺し子」にも思いがけない美があり、再発見させられました。

「もったいない」がこのミュージアムのコンセプトだそうです。


布といえば、Tさんからお姑さん手作りの巾着を見せられ、
「2つあるので好きな方を」と言われて頂戴いたしました。

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大切に使わせて頂いています。(22×16)
                  
                 
洋裁も手芸も苦手で、授業の家庭科以外に経験のない私ですが
20代に奮起して、市松人形の衣装を作りました。

市松人形は子供の頃から欲しかったのですが
親には言わず仕舞いでした。
社会人になってから裸の市松さんを浅草橋の「吉徳大光」で
買って、ようやく夢が叶いました。

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布切れを使ったパッチワークがそのまま着物の柄になり、
当時はマニュアルもなく、イメージで作りました。 (身長35センチ)

友人や肉親から、布切れや小物の協力を得て出来たのでした。
40数年が経ち、黒髪はいつしか今様になりました。
帯揚げは、亡き母が好きだった着物の切れ端で、
着用していた頃を憶い出します。

布の記憶はいろいろとありますが、
布をめぐる人と人とのつながりを
あらためて思い起こしたのでした。






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Amor, Mon Amour, My Love

2012.11.17.Sat
2012年11月17日

 坂本紀男 テノール 東日本大震災チャリティーコンサート
                 (11月16日 銀座ヤマハホール)
 今年も夫婦で聴きに伺いました。
 坂本紀男氏は夫の恩師霧島昇先生のご子息で、東京音楽大学
 同大学院声楽科の客員教授であり付属幼稚園の園長もされています。

 大人のコンサートで、あちこちに園児がいる光景は初めてでした。
 「ゆりかご」 (詩・曲 平井康三郎)は園児らのために歌われ
 「みな静かだね、えらいね」と彼らを褒めていらっしゃいました。
 本当に終始静かで、音楽を聴く態度が備わっている
 音大付属幼稚園の子供たちには、感心いたしました。


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 「小さな空」 詩・曲 武満徹    編曲 広瀬宣行

 1) 青空をみたら 綿のような雲が 悲しみをのせて 飛んでいった
    いたずらが過ぎて 叱られて泣いた こどもの頃を 憶いだした

 2) 夕空みたら 教会の窓の ステンドグラスが 真赤に燃えていた
    いたずらが過ぎて 叱られて泣いた こどもの頃を 憶いだした

 3) 夜空をみたら 小さな星が 涙のように 光っていた
    いたづらが過ぎて 叱られて泣いた こどもの頃を 憶いだした

 現代音楽の巨匠で、難解という先入観が消え去り、
 穏やかな優しい作曲家の人柄は、テノール歌手の坂本紀男氏に
 重なりました。

 
 「明日ハ晴レカナ 曇リカナ」 詩・曲 武満徹

    昨日ノ悲シミ 今日ノ涙 明日ハ晴レカナ 曇リカナ
    昨日ノ苦シミ 今日ノ悩ミ 明日ハ晴レカナ 曇リカナ

 黒澤明監督の「乱」のバックミュージックを作曲した際のこと
 ロケーションでは雨が降ると1週間も撮影がストップする
 ことがあるそうです。監督もスタッフも
 「明日は晴れかな、曇りかな」と同じ気持になり、
 黒澤監督の主題歌になったそうです。
 また、もう一つの意味として、
 監督は気性の激しい方で、穏やかな時は人当たりが良く、
 厳しい時は雷が落ちたかのようで・・・、ドキドキするスタッフを傍らで
 見て作ったそうです。「明日は機嫌がいいかな」と。

 
 第一部は日本の歌曲でしたが、二部の後半からご子息の坂本紀仁氏
 (Drums)が登場して華やかなステージになりました。

 結婚式で流されるイタリア歌曲に有名なマルティーニの
 「愛の歓び」があります。
 坂本紀男氏も所望され、歌われたことがあったそうです。
 実を云うと場違いの悲劇的な愛の歓びで「なんで私をおいて、
 他の男と結婚してしまったのか・・・」と。
 坂本氏はそのカップルのことを、今もって心配なさっておりました。


 「愛の歓び」の後に歌われた
 「Amor, Mon amour, My Love」 (アモール、モナムール、マイ・ラブ)
 私の恋人が伊、仏、英 と重なる目出度い歌です。
 そのカンツオーネを日本語で歌って下さいました。
 これも結婚式で歌われたそうですが、
 こちらの皆さんはお幸せだそうです。
 
 
 プログラムの最後は「Volare」 (ヴォラーレ)
 キリンビールのCMでお馴染みの曲でした。
 

 ユーモアに溢れた興味深いお話を交えながら、美しいテノールの
 歌声(全16曲)を堪能させて頂き、ありがとうございました。
 心豊かなひと時を過ごすことが出来ました。
 
 ご子息の坂本紀仁氏のドラムにも感銘いたしました。風のように
 そしてりズムカルに、歌とピアノ(広瀬宣行氏)
 ドラムが調和し、心地よく聴かせて頂きました。
 
 霧島昇先生のお嬢様たちにもお会いし、ご長女の方の
 隣の席で、のぶさんも思い出話を懐かしんでいました。 

 


今日は立冬

2012.11.08.Thu
2012年11月7日

 テレビの画面には、浅間山が雪をかぶり、周りはすでに紅葉を終え
 枯れ一色の冬景色が映りました。
 東京は夏の記録的な猛暑と長引いた残暑で、やっと秋らしくなった
 と思ったものの、暦の上では冬の気配が始まる立冬です。

 
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 立冬のマイ・ガーデンでは主役の菊が見ごろを迎えようとしています。

 
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 朝夕の冷え込みと澄んだ大気で、マリーゴールドとサルビヤの残花
 が、はっとするほど鮮やかで、特に赤(朱)の発色がよくて
 輝いています。
 公園の花壇は早めに季節の草花を植え替えるので、最後に見せる
 花のいのちの美しさを見過ごしがちです。


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 大鉢の植木の片隅には、この春にはなかった桜草とノースポールが
 発芽しており、風からのプレゼントでした。


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 スミレの帰り花には目を見張りました。季節のいたずらの、
 束の間のプレゼント。(スミレの後ろには桜草が発芽)
 ぽっと咲いた白スミレは小さな妖精が目をみひらいたかのようです。
 狭い庭にも季節は瑞々しく巡っています。

 

ふと現れた記憶

2012.11.04.Sun
2012年11月4日

冷ややかに我を見つめる我があり   コウコ

 小学校の学力テストで<オタマジャクシの手と足は
 どちらが先?>の問題で、とっさに浮かんだのは
 <やがて手が出る、足が出る>のフレーズでした。
 自動的に<手>と答えたのですが、正解は<足>と知って
 当時はかなりショツクだったようです。

 高校入試の模擬テストでは「カエルの解剖図」が出題されて愕然!
 カエルの解剖なんて気味が悪くて、
 なんとその日はずる休みしていたのです。
 実際の入試でなくて本当によかった!と
 胸をなで下ろしたのでした。

 これらの記憶はヒキガエルと出会ってから蘇ったもので、
 実はこの性癖、今もって手ごわいのです。

 うちのヒキガエルと目が合った時
 「カエルのことを忘れないで」と言われたのでした。